目を閉じて 知らないフリをした



















“美しさとは時には罪にもなりうる。”


そんな言葉を、昔誰かから聞いた気がする。

実際のところはどうか、明確な答えは知らない。

その言葉を聞いたばかりの頃は、どうしてだろうと考えていたのを覚えている。

だが、僕は確かに、自分の友人を見てその言葉を思い出したのだ。

緑色の木陰の中で眠る君。

黒い髪は光を反射してきらきらと光っている。

最近のリヴぁルの話では、授業の半分は寝ているらしい。

一体どうしてかは知らないが、眠っている君は綺麗だと思ってしまった。


「ルルーシュ」


名前を呼ぶと、嬉しそうに君はほころんだ。

何時ものクールな表情とは違う無邪気な笑顔。

どきんと、鼓動は高鳴って、後ろの木に後頭部をぶつけた。


ゴスッと良い音が辺りに響く。


「うっ・・・痛・・・」


思わず声を上げると彼は小さな寝返りを打って、ぼんやりと僕の方を見つめる。

頬は上気して、熱かった。


「ん・・・、すざく・・・?」


頭がまだ覚醒していないのか舌足らずな口調で問う。


「う・・・うん」


「そ・・・眠・・い」


僕は自身の頬が熱くなるを感じながら、心の中で平常心と必死に唱える。

何も知らない君は、僕の返事を聞くと同時にまた寝てしまう。

小さい寝息を立てながら、無邪気な顔で寝る君は


(可愛いなぁ・・・・)


ふと、頭の中で浮かんだ単語に対して、突然僕の頭は考える事を止めた。

そして止まったと思ったら、今度は急速にさまざまな思いが頭の中を駆け巡る。

考えは一向に纏まらなかったが、とにかくこの場から逃げなくてはと思い、眠っている君に自分の上着を羽織らせ、走って逃げた。

いくら走ったところで、先ほどの彼の表情は離れる事は無かったし、考えが纏まる事も無い。

可愛いなんて単語、友人、ましてや男に掛ける言葉ではないのに、そう思ってしまった自分に動揺した。



血が沸騰する感覚。

脈拍は異常なほどに早い。

知っている僕はこの症状の名前を。

でも、知らないフリをしていたかった。友達だと思っていたかった。





誰かが云った、美しさとは時には罪にもなりうると。

確かにそうだと、僕は思う。

何故なら彼の美しさは、自身さえを惑わすのだから。

07.01.27